デザインエンジニアリングを「優れたユーザー体験についての直感を、出荷された製品に変える能力」と定義する。固定された職種ではなく、デザインとエンジニアリングの間に広がるスペクトラムで、いまその重心はエンジニアリング側へ寄っていると見る。
かつてのデザインエンジニアは職能の間に立ち、プロトタイプを作り、デザインシステムを整え、意図を実装へ翻訳する役回りだった。デザイナーがコードを覚え、プロダクトエンジニアがUXの勘を持ち始めた今、問いは「橋渡しできるか」から「その隔たりをひとりでどこまで引き受けられるか」に変わった。
意図は遠くまで運ばれるほど変質する。技術や時間の制約で、途中に誰かの解釈が挟まるからだ。最初の判断を持ったまま出荷まで運べば、この翻訳ロスが減る。ハンドオフをひとりに集約するのがこの役割の存在理由になる。
判断を支えるのがtasteで、見た目の美しさだけを指す言葉ではない。インタラクション設計、UXの判断、プロダクトの勘までを含む。著者はRick Rubinを引き、自分の感覚を信じて表現できることが作り手を助けるとする。
著者はAI自動化ツールのGumloopで、オブザーバビリティや権限、エンタープライズ機能といった複雑な画面を扱う。仕事の中身は最後の20%を詰めることにある。アクセシビリティ、パフォーマンス、レスポンシブ挙動、モーション、空の状態。将来のデザインエンジニアは、ユーザー理解からプロダクトの意思決定、UI設計、実装、自力での出荷までを一貫してこなせる人すべてを指すようになるかもしれない、と予測する。