AIがプロダクト体験を確率的にしていくほど、デザイナーの仕事はインターフェースの内側へ一段深く降りていく——Emily Campbell がそう論じる。初期Webの決定論的デザイン、アルゴリズム時代の予測的デザインに続く第三の様式として、彼女は「確率的デザイン(probabilistic design)」を置く。出力を直接制御するのではなく、システムの随所にあるレバレッジポイントで条件を整え、結果を方向づける設計だ。
Garrett(2000)やMills(2021)のモデルを更新するかたちで、AI体験を6つの層に分ける。
- User Interfaces — 人がAIの振る舞いを指示し、監督する層。システムが学習するにつれ、逐一の指示から監督へと役割が移る。オンボーディングは progressive disclosure ではなく「progressive autonomy(段階的な自律付与)」になる。
- Context — システムがユーザーについて知り、推論する内容。明示的な入力と、行動履歴からの推論の両方。やり取りをまたいで何を引き継ぐかを管理し、「context rot(文脈の劣化)」を避ける。
- Harness — モデルが何にアクセスし何をできるかを決める運用構造。connectors・tools・skills・agents で構成される。
- Model — 学習データ、能力、そして latency や推論の深さといった調整可能なパラメータ。
- Governance — AIのパラメータと権限を定めるルール・基準・preferences。
- Emergence — 実際の利用で初めて現れる変動と未知の振る舞い。事前に決めきれない確率的な出力。
主張は明快だ。AIではデザインの影響範囲が従来より一層深くまで及ぶ。デザイナーはMLエンジニアになる必要はないが、モデルの性質を扱える程度のリテラシーは要る。