デザイン原則やプロダクト原則はプロジェクトの憲法として機能する。多くのチームが定める原則は早期の議論を避けた妥協の産物であり、後から強制力を失う。原則が戦略的な選択たり得るためには、議論を呼び、意見が分かれ、痛みを伴うべきだ。
原則の有効性を検証する手法として「Versus what?(何に対してか)」という問いを投げかける。
- 「私たちは良い体験を提供する」
対義語は「悪い体験を提供する」となる。誰もが賛同しやすく、期限が迫る状況で「良い」の定義が揺らぐため働かない。
- 「品質をゲートし、準備が整うまでリリースしない」
期限と品質のトレードオフについて早期に議論が起きる。
この検証は企業バリューや戦略にも適用できる。「誠実さ」をバリューとする場合、「顧客を詐欺ることをしない」という対義語が存在するが、Enron もこのバリューを掲げていた事実が示すように、抽象的な言葉は実効性を欠く。戦略においても「事業を成長させる」は代替案(縮小など)がないため戦略的な選択とは言えない。
問いを多用しすぎるとシニカルになり、指差し批判の道具に堕する危険だ。ドキュメントや原則策定段階で使い、解決策が固まる前に議論を促す目的に留める。